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コラーゲン
コラーゲンとは、体を構成するすべてのたんぱく質のおよそ30%を占める、たんぱく質の一種です。体内のコラーゲンの約40%は皮膚、10~20%は骨や軟骨に存在しています。
コラーゲンは細胞同士を結びつける役割を担い、肌や関節、骨に関わっている成分ですが、20歳頃をピークに、年齢とともに減少していきます。
注射に用いるコラーゲンの種類
現在、体内には約30種類のコラーゲンがあるといわれていますが、発見された順に、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型と順々に名付けられて分類されています。それぞれ、構造や分子量によって性質が違っています。
Ⅰ型 | 体内でもっとも多く存在するコラーゲン。骨、歯、皮膚、腱などのおもな成分になっている。化粧品やサプリに利用されるのは、この型がほとんど。 |
Ⅱ型 | おもに関節や軟骨に存在。目の角膜や硝子体の成分になる。軟骨を形成するために重要なコラーゲン。膝変形関節症や関節痛、関節炎の解消や軽減に有効だといわれる。 |
Ⅲ型 | おもに臓器に含まれるコラーゲン。繊維が細く、組織に柔軟性を与える。皮膚や血管の壁にも多く存在。肌のハリや弾力を維持する働きをもつ。 |
Ⅳ型 | 基底膜に存在し、皮膚の表皮と真皮をつなぎとめる働きをもつ。このⅣ型コラーゲンが不足すると、健康に悪影響を及ぼす可能性があるといわれる。 |
Ⅴ型 | おもに血管や平滑筋、胎盤に含まれる。皮膚の上層にあるⅣ型コラーゲンと下層にあるⅠ型コラーゲンを結びつける働きがある。 |
いま注目は●型!?
コラーゲンの中でも肌を構成しているのはⅠ型とⅢ型です。Ⅰ型は体内でもっとも多く存在していて、皮膚や骨を形成して、肌に弾力を与えます。Ⅰ型コラーゲンのある組織にはⅢ型コラーゲンも共存していることが多いといわれ、Ⅲ型コラーゲンはⅠ型コラーゲンをサポートする役割を担っています。
最近の注射では、Ⅰ型・Ⅲ型を50:50で配合したものが注目されています。というのも、Ⅲ型コラーゲンは赤ちゃんの時にはたくさん存在していて、Ⅰ型コラーゲンとは1:1の割合だったのが、加齢とともに減少し、10:1程度にまでなってしまうといわれています。
Ⅲ型コラーゲンは、Ⅰ型コラーゲンをサポートし、肌のみずみずしさや柔軟性、弾力を保つ働きがあるので、Ⅲ型コラーゲンが減少することで、肌の柔軟性や弾力性が失われてしまうと考えられています。
注射に適しているのはどれ?コラーゲンの由来
コラーゲンには、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型……などいくつかの種類がありますが、同じ型でも、ウシやブタ、ヒトなど、由来によってアミノ酸組成や熱に対する安定感が違ってきます。
例えば、サメ由来のⅠ型コラーゲンのアミノ酸組成は、ウシやブタ由来のⅠ型コラーゲンと比べてヒドロキシプロリンやプロリンの含有量が少なく、イソロイシンやメチオニンが多く含まれています。
また、熱によってコラーゲンの三重らせん構造がほどけてゼラチンになる「変性温度」は、温かいところに住んでいる生物は高く、寒いところに住んでいる生物は低い傾向にあるといわれています。
由来によってアレルギーが出る?
ウシやブタ由来のコラーゲンは、体質によってはアレルギー反応を起こす可能性もあります。牛や豚自体にアレルギーを持っている人はもちろん、乳製品にアレルギーがある人も、ウシのコラーゲンでアレルギーが出る可能性があります。こうしたアレルギー反応を避けるためにも、治療の1カ月以上前にアレルギー検査が必要になります。
一方ヒト由来のコラーゲンであれば、アレルギーの可能性が他のものに比べて低いと言われています。